金利、キャリーなど年明け以降、日本株、特に不動産セクターが高騰を演じている。特に ファンダメンタルズが変化したわけではない。逆に、日銀の政策金利 引き上げやDA オフィス投資法人を運用しているダヴィンチの子会社 であるダヴィンチ・セレクトの不祥事が発覚するなど、どちらかと言えば、 ネガティブなニュースフローの方が多いものの、銀行による不動産向けや ファンド向け貸出には過熱感は見られず、これも、どちらかと言えば、 新BIS 規制などで抑制がかかっており、実際、不動産価格の上昇率は 鈍化していると考えるのが普通だろう。年明け以降、大きな変化があるのは、 外国銀行によるコール市場における資金残高が7 兆円を超えたことだ。 この資金は海外通貨に転換され、日本より金利の高い債券や利回りの 高い不動産などに投資されていると考えられている。いわゆる円キャリー 取引だ。この円キャリー取引が今回利上げに関しても多く語られ、円高を 引き起こしす要因となっている。当然低金利の円を借り、その円を使い 投資した結果、投資先の株や不動産が上昇、相対的に日本の資産が 割安になる。円安によって、さらに海外投資家から日本の資産が割安に みえる。この結果、海外投資家が割安となった日本株、特に、不動産 セクターを代表する日本の資産株へ資金をシフトしていると考えられる。 従って、外国銀行によるコール市場における資金残高と日本株の相関、 特に、不動産セクターとの相関が近年高まっている。現状の不動産 セクターの上昇は、業績予想の上振れや不動産価格の上昇率加速などに よるファンダメンタルズの変化ではなく、単純なバリューション拡大である。 すなわち、円キャリー取引の残高が増加を続ければ、不動産セクターが さらに上昇する可能性があるということである。しかし、日銀の政策金利 引き上げで海外との金利格差は縮小しているため、7 兆円を超える外国 銀行によるコール市場における資金残高がさらに大きく増加するとは考え にくいだろう。 |